堅牢と優美さを誇った工業倶楽部会館も80年の歳月には抗しきれず、平成9年、その老朽化、耐震性の欠如、機能更新の必要性から、建替えざるを得ないとの結論に至った。
建替えに当たっては、日本工業倶楽部が社団法人日本都市計画学会に委託して設置した、学識経験者を中心とする「日本工業倶楽部会館歴史検討委員会」(座長:伊藤滋氏)による保存・再現方法の提案を受け、会館の西側部分を保存、その他の部分を再現し、登録文化財としての歴史的景観の保全を図ることとした。
屋上の坑夫と織女の像、正面玄関の石柱、石材等はオリジナルの材料を使用し、主要施設である大会堂、大食堂部分をほぼ完全に保存すると共に、玄関から3階に至る大階段、ロビーについては内装材を保存活用し、内部空間を再現することにした。
また、会館部分全体を免震材の上に載せて、耐震性を完璧なものとし、平成15年3月竣工。
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